12冊目「呼ぶ山(夢枕獏)」

久しぶりの読書。というわけではなくて読んでるけど記事にはしてないだけだったり。
今回は新潟居候編の家主様が勧めてくださった小説。山系です。

 

呼ぶ山 夢枕獏

 

家主様の家に置いてあったので居候中に読もうと思っていたのだけれども、なんやかんや忙しくて読めずに東京に帰ってきちゃいました。
なので買っちゃいました。ふふ。

 

 

目次

短編集なので複数のお話です。
  • 深山幻想譚
  • 呼ぶ山
  • 山を生んだ男
  • ことろの首
  • 夢幻彷徨記
  • 鳥葬の山
  • 髑髏杯(カパーラ)
  • 歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)
音や匂いや香り(夢枕獏はその対象によって匂いと香りを使い分けてる)、温度や心情など、テキストなのにリアルに想像できるというか、自分の山の記憶の断片をフックに再現して体感や想像ができちゃう。ゾクッとする場面がいくつもあった。恐ろしい。
エヴェレストの映画は見てて(あれは見る価値ないけど)、神々の山嶺も著者の夢枕獏も名前は知ってた。山友達からは原作を読めって言われてたけど読むものが溜まっててまだ読んでなかった。

この本のあとがきを読んでいて知ったんだけど、夢枕獏って実際に山を歩く人なのね。どおりで。すごく納得。

これは面白い。オススメです。

 

以下、きょんぴ的抜粋。好きなところ。

深山幻想譚

あの頃が私の夏なら、もはや、私の夏は去っていた。

どこか気に入った、人も来ないような所にテントを張って、山の雰囲気を肉体全部に染み込ますことができれば、それでよかった。

うあーやってみたいやってみたいやってみたい!!

山に、その、人格のようなものを感じることはありませんか

そう考えたことはなかったけど、意識したら何か感じるのかな。感じてみたい。

 

呼ぶ山

死んだら、もう、この遊びを続けられない。

好きなことばかりやってるとこういう感覚わかるなぁ。

死にたくはないが、これはこれでしかたがないかとも、今、おれは考えてみてるみたいだな。

俺には穏やかな心情の描写に感じられるんだけど、こんな死に方をしたい。

 

山を生んだ男

とりあえず、残った乾燥米のうち、ひと握りを粥にすることにした。粥の中に、非常食の甘納豆を十つぶ入れて、スプーンでつぶしてかき混ぜる。ご馳走であった。

こんな切羽詰まった体験はしたことないけれど、きっとものすごくうまい。それは想像できる。想像以上なんだと思うけど。

残雪の匂いも、新芽の香りも、おれの気持をうきうきさせてはくれなかった。

好きなところの抜粋と言うか疑問なんだけど、なぜ残雪が匂いで新芽が香りなんだろう。俺だったら両方「香り」を使うんだけど。

 

髑髏杯(カパーラ)

ほっとすると、あとは絶え間なくさらさらとテントに降ってくる雪の音ばかりである。そのうちに、雪の音もしなくなる。テントの上に雪が積もってしまったからである。

誰もいないゲレンデや雪山で寝っ転がって空を見上げるのが好きなんだけど、ウェアに落ちてくる雪の音みたいなものだよねきっと。雪かわいい。

 

歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)

湿った森の匂いの中に、はっきり、そういう落葉の匂いが混じっている。まだ、森の土と溶け合う前の、植物の血の臭気をほのかに残した匂いだ。

土と溶け合う前の植物の血の臭気。そうかあれは植物の血の匂いと言えるんだと思った。

 

 

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