11冊目「葬式は、要らない(島田裕巳)」

2010年出版の書籍。これも話題になってた本だったような。たしか。

葬式は、要らない(島田裕巳)

当時何を想像して買ったのかはわからないけど、この本を開く前に思っていたのとは全然別物だった。
今日の葬式仏教が出来上がった歴史的背景や戒名の矛盾など、あとは葬式にまつわる知識なんてものを得た。

 

散骨あたりまでは知ってはいたけど宇宙葬なんてものもあるんだなぁ。
ちなみに日本の葬式は世界で見るとトップレベルの金額の高さだそうで、この辺は国民性や世間体などといった日本固有の背景に由来するとのこと。
日本は平均三桁万円に対して、他の国は平均二桁万円。日本たっけ!

 

この本を読んでいて思ったけど、そろそろ親ともこういう話をしなければならんか。俺はあなた方の(一般的な) 葬式をやるつもりはないよと。直葬ぐらいかな。
*別に仲が悪いとかそんなんじゃないです。俺が必要性を感じていないだけ。戒名システムとか笑えるほど腐ってるし。

 

多大な金額と時間と労力を割いてまで葬式を行うことが故人のためになるとは思ってないです。
そもそも葬式は残った人たちのためって言われてるくらいだし。

 

もちろん、俺が死んだ時もそういったものは一切必要ないです。死んだ後の俺とか俺じゃないし興味ないし、好きなように処分していただいて結構。独身だとこういうの気にしなくていいから本当に楽。
と思ってるけど何かしら揉めそうなので、理想としては誰にも気づかれないような深い深い山奥で、万が一見つかったとしても特定できないような状態で朽ちていきたいところでございます。

 

ああ、この本でもシンプルな直葬が増えてきた要因として「家」の役割が変わってきたからとしているけど、結婚についても同様の理由で形態が変化してきたと。
たぶん俺はこの「家」に興味がないんだろうなぁ。完全に個。興味レベルなのでこの先もしかしたら興味が湧くのかもしれないけれど。

 

話は逸れたけど、全く無知な分野だったのでとても新鮮で面白い内容だったのでした。

以下、きょんぴ的抜粋。

確かに人類は、度の国でも、どの民族でも、どの宗教においても、そして、どの時代でも、死者が出れば、葬式を行ってきた。だが、葬式は法律によってしなければならないと定められているわけではない。

全く無知だったもので、葬式は定められたものではないと初めて知ったのであった。

この墓埋法において重要なのは次の3点である。(1)死亡後あるいは死産後、24時間経たなければ、埋葬も火葬も行ってはならないこと、(2)火葬は火葬意外で行ってはならないこと、(3)埋葬は墓地意外では行ってはならないこと、である。

昔の医療技術などの名残で、死亡の診断が誤りだった場合を考慮して24時間の猶予と。

その白洲が死の五年前に残した遺言が、「一、葬式無用, 一、戒名不用」であった。

お、これ聞いたことある。これだったのか。

墓埋法では、遺骨の埋葬は墓地以外の場所で行ってはならないと規定されているだけである。もし遺骨を埋葬しないなら、状況は違ってくる。

この法律が作られた当時には存在しなかった散骨など。

葬式にいくら費用をかけても、何かが残るわけではない。祭壇はすぐに壊され、棺も、いくら効果な材料を使っても、火葬されれば、ただの灰になる。飲食もそれを楽しめるわけではないし、香典返しも、カタログから商品を選ぶシステムが広がっているが、果たしてそれが必要なのか、疑問を感じることも少なくない。

ごもっとも。

結婚式の変化と最近の葬式の変化は、深いところで連動している。後に詳しく論じるが、背景に「家」の重要性が失われてきたという事態がかかわっている。

最近では、従来の形式の墓を建てないという選択肢も生まれている。散骨もその一つだが、他に「樹木葬」や「宇宙葬」「手元供養」といったやり方をとる場合も出てきている。

現時点でこれなんだから、今後はまた新しい物が出てくるのかな?ちょっと気になる。
樹木葬は霊園にもよるけど相場は50万円以下くらいなのかな。
宇宙葬はだいたい100万円ほどで可能って書いてあるけど、現時点のものを調べたら一番安いもので税込み約50万円だった(宇宙飛行プラン)。っていうか宇宙探検プラン高すぎ。どこまで行くんですか。
手元供養は人工ダイヤモンドも含まれるみたい。これは50万円かからない程度。

古代の人々は、死者の赴く世界をどうとらえていたのか。埴輪や古墳の壁画を見ていると、それが現世と連動するものとして想定された可能性が高く、現世と全く異なる世界とは考えられていなかったように思われる。
おそらく古代の人々は、死者の赴く世界について必ずしも明確なビジョンを持たなかったのではないか。私たちは、死者の赴く世界と聴くと、すぐに天国や極楽あるいは地獄のことを思い浮かべるが、古墳からはそうした異界の痕跡は発見できないのである。

これとてもおもしろい。今の死後の世界感は初期古墳時代の後に生まれた宗教によってもたらされたものってことね。キリスト教とか浄土宗あたり?とりあえず異界と聞いてFF10やりたくなりました。

今日の仏教は「葬式仏教」と言われるように、死者を葬ることを第一の使命にするが、飛鳥時代から奈良時代にかけての仏教は、高度な学問の体型として受容され、葬式仏教の側面はまったくもたなかった。
その証拠に今日、奈良に現存する飛鳥時代から奈良時代に創建された仏教寺院は法隆寺、薬師寺をはじめとして、どれも墓地をもたず檀家がいない。当時の寺は、あくまで仏教の教えを学ぶための場であり、葬送儀礼は営まなかった。

この辺の時代の仏教はまだ純粋な仏教だったと。まだ腐って無い感。

アメリカでは、火葬せずに遺体をまるで生きているかのように見せる「エンバーミング(日本の死化粧に近いが、血液を抜き防腐剤を注入して遺体をそのままに保つ化学処理が施される)」が行われる。この背景には死後の復活の信仰があり、たんなる見せかけの贅沢とは言えない。信仰の厚いアメリカ人は、仮想すると肉体がなくなり復活ができないと考えるからである。

たんなる見せかけの贅沢と言っているのは日本と比較してということ。エンバーミング自体はるろうに剣心の作者がそんなマンガ書いてて知ってたっけ。

寺の側が、戒名について正しい知識や認識をもっているかと言えば、それには怪しいところがある。
なぜそういうことになるかと言えば、戒名を授ける側の仏教宗派は、自分たちの宗派に属する僧侶に対して、戒名についての正しい知識や認識を伝えていないからだ。

この辺から戒名システムの生臭感が出てくる。

戒名は、その人間が仏教徒になった証として授かるものだというのである。

現代日本だとまぁよくある話と言うか。結婚式のときだけ教会とかと一緒よね。中身を伴っていないやつ。そして戒名は出家者が戒名を授かるのは国外でも一般的で、でも俗人が授かるのは日本のみと。

日本では、出家であるはずの僧侶が妻帯し、普通に家庭をもっている。それは破戒ではないのか。

日本の仏教は葬式仏教に成り果てたことで堕落してしまった。そう考える人は少なくない。その堕落の象徴が、戒名と戒名料なのである。

破戒僧の悠久山安慈を思い出した。

祭壇の洗濯などでいくつものプランが用意されているとき、施主の側には、できるだけ手厚く死者を葬りたいという思いがあり、節約の方向ではなく、金をかけて葬式を豪華なものにする報告を選択しやすい。葬式に金をかけることを惜しめば、それは故人を蔑ろにすることになるのではないか。そこでも世間体の意識が働き、それが金のかかる葬式を生む原因になっている。

世間体(笑)による脅迫だと思うんだけど。世間体じゃ誰も幸せにならない。突飛な不幸にもなりづらいとは思うけども。

全国に1万4000軒の寺を抱える曹洞宗の場合、住職の平均収入は565万円という調査結果が出ている。これはあくまで平均の数字で、多くの寺院では300万円以下である。

これがとても意外だった。これ年収だよね?僧侶なんて某前都知事のような銭ゲバばっかりかと思ってたけど実は苦労してるのかな・・・。

都市部に生活する人間の感覚では、今では土葬は許されていないかのように思われているが、東京、大阪、名古屋などの大都市で条例により土葬が禁じられているものの、他の地域では決して禁じられているわけではない。私たちが調査した山梨の村のように山間部では、依然として土葬が行われている。

土葬ってまだあったんか!っていうかそれを禁じる条例なんてものもあったのか。

これがヨーロッパになると、墓参りの慣習はほとんどない。墓をもうけるものの、それは故人を葬る空間にすぎず、残された家族が命日などにその墓に参ることはない。そもそも個人墓が主流で、日本のような家の墓はない。墓参りをしないため遺族も墓の場所を忘れてしまう。

えーそうなんだ。墓の場所を忘れるってw という俺ももう20年近く墓参りとか行ってないんじゃないか。興味ないけど墓どこにあるんだよ!と言ってみる。いいの、時々思い出すくらいで。

家を代々継承させていくことは相当に難しくなっている。その家に男の子が生まれなければ、家が途絶える可能性が出てくる。墓を護る人間がいなくなれば、墓は「無縁化」する。今、どこの墓地でも、この無縁化の増加という事態に直面している。永代供養墓の増加も、その影響だが、今や従来の墓の形式が実情にそぐわないものになっている。

うちに関しては俺子供嫌いだし結婚に興味ないし、大嫌いな愚弟はパラサイトニートというクズっぷりだし、おそらくこのまま途絶えるけど親戚がたくさんいるから当分は墓の問題は無さそうですね!

死者が出た場合、健康保険から埋葬料が出る。現役のサラリーマンなら給料の一ヶ月分が埋葬料として給付される。家族に死亡者が出た場合でも、10万円程度の家族埋葬料が支給される。国民健康保険は自治体によって額が変わるが、3万円から7万円程度の支給となる。

おおおお、そんな制度があったのか。これか。→手続きをすれば葬祭費・埋葬料がもらえる!

葬式で、もう一つ出費を抑えられるのが、戒名料を含めた寺への布施である。全国平均では、そこに54万9000円かかっている。
もっとも簡単なのは、葬式に僧侶を呼ばないことである。つまり、仏教式の葬式をやめ、無宗教式の葬式をあげるのである。僧侶に導師を頼まなければ、この分の費用はいっさいかからない。

ふむ、無宗教形式で密葬すれば楽に安上がりと。あれ、うち一応墓あるからこれ揉めそうだな・・・。

僧侶の場合でも、実は、戒名のつけ方について教えられているわけではない。それも、すでに述べたように、戒名が仏教の教えにも、宗派の教えにも直接結びつかないからである。
そのため、僧侶向けに戒名のつけ方のマニュアルが刊行されている。そうした本では、どういった字を選べばいいのかが解説されている。あるいは、戒名をつけるためのコンピュータ・ソフトも開発され、販売されている。

“戒名をつけるためのコンピュータ・ソフトも開発され、販売されている “これもう僧侶いらんだろw 卒塔婆もプリンターで印字してるしね。

いやー葬式って突っ込みどころ満載で面白いということがわかった。良い本であったw

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