目次
- 深山幻想譚
- 呼ぶ山
- 山を生んだ男
- ことろの首
- 夢幻彷徨記
- 鳥葬の山
- 髑髏杯(カパーラ)
- 歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)
この本のあとがきを読んでいて知ったんだけど、夢枕獏って実際に山を歩く人なのね。どおりで。すごく納得。
これは面白い。オススメです。
以下、きょんぴ的抜粋。好きなところ。
深山幻想譚
あの頃が私の夏なら、もはや、私の夏は去っていた。
どこか気に入った、人も来ないような所にテントを張って、山の雰囲気を肉体全部に染み込ますことができれば、それでよかった。
うあーやってみたいやってみたいやってみたい!!
山に、その、人格のようなものを感じることはありませんか
そう考えたことはなかったけど、意識したら何か感じるのかな。感じてみたい。
呼ぶ山
死んだら、もう、この遊びを続けられない。
好きなことばかりやってるとこういう感覚わかるなぁ。
死にたくはないが、これはこれでしかたがないかとも、今、おれは考えてみてるみたいだな。
俺には穏やかな心情の描写に感じられるんだけど、こんな死に方をしたい。
山を生んだ男
とりあえず、残った乾燥米のうち、ひと握りを粥にすることにした。粥の中に、非常食の甘納豆を十つぶ入れて、スプーンでつぶしてかき混ぜる。ご馳走であった。
こんな切羽詰まった体験はしたことないけれど、きっとものすごくうまい。それは想像できる。想像以上なんだと思うけど。
残雪の匂いも、新芽の香りも、おれの気持をうきうきさせてはくれなかった。
好きなところの抜粋と言うか疑問なんだけど、なぜ残雪が匂いで新芽が香りなんだろう。俺だったら両方「香り」を使うんだけど。
髑髏杯(カパーラ)
ほっとすると、あとは絶え間なくさらさらとテントに降ってくる雪の音ばかりである。そのうちに、雪の音もしなくなる。テントの上に雪が積もってしまったからである。
誰もいないゲレンデや雪山で寝っ転がって空を見上げるのが好きなんだけど、ウェアに落ちてくる雪の音みたいなものだよねきっと。雪かわいい。
歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)
湿った森の匂いの中に、はっきり、そういう落葉の匂いが混じっている。まだ、森の土と溶け合う前の、植物の血の臭気をほのかに残した匂いだ。
土と溶け合う前の植物の血の臭気。そうかあれは植物の血の匂いと言えるんだと思った。